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フォーマット比較

MP3 vs WAV vs FLAC vs OGG vs AAC — どの音声フォーマットを選ぶべきか

音声フォーマット 5 種を、圧縮方式 (非可逆 / 可逆 / 無圧縮)・ファイルサイズ・互換性・用途で比較。配布・編集・アーカイブのどれを優先するかで最適解が変わる理由を解説します。

音声フォーマットを分ける 4 つの判断軸

音声フォーマット選びは「音が良いほど偉い」では決まりません。判断軸は 4 つあります。圧縮方式 (無圧縮 / 可逆 / 非可逆) は再生時の音質劣化と編集の余地を左右します。ビットレートとファイルサイズ はストリーミング配信のコストやスマホへの持ち出し容量に直結します。互換性 は受け取り側の再生環境 (古い車載 / 業務システム / DAW / ブラウザ) によって急に厳しくなります。用途 は配信なのか編集なのかアーカイブなのかで、最適解が真逆になります。

「MP3 はもう古い」「FLAC は音質最強」のような一次元の比較ではなく、この 4 軸のどれを優先するかで答えが変わります。podcast 配信なら互換性、スタジオ編集なら無劣化、ハードディスクへの長期保存なら可逆圧縮、Web 配信なら容量、というように。

5 フォーマットの比較表

項目MP3WAVFLACOGG (Vorbis/Opus)AAC
圧縮方式非可逆無圧縮 PCM可逆非可逆非可逆
典型ビットレート128-320 kbps1411 kbps (44.1 kHz/16-bit)700-1100 kbps96-256 kbps96-256 kbps
同品質でのサイズ比基準 (100%)800-1000%400-600%60-80%70-90%
メタデータID3v2RIFF / BWF (限定的)Vorbis Comment (豊富)Vorbis CommentiTunes 系 + ID3
標準対応ほぼ全てほぼ全て大半の DAW・モダンブラウザFirefox / Chrome 系・Web 配信iTunes / YouTube / Apple Music / 多くの配信
開発年1992 (ISO/IEC 11172-3)1991 (Microsoft / IBM)2001 (Xiph.Org)Vorbis 2002 / Opus 2012 (IETF RFC 6716)1997 (ISO/IEC 13818-7)

サイズ比は CD 品質 (44.1 kHz / 16-bit ステレオ) の WAV を「無圧縮の参照」とした目安です。MP3 192 kbps / AAC 160 kbps / Opus 96 kbps はおおむね同等の聴感品質 とされ、Opus は最も少ないビットレートで同じ品質を出せます。FLAC は可逆なので元の PCM に bit-exact で戻せるのが特徴で、編集や保存に向きます。

用途別のおすすめ

音楽配信・podcast 公開: AAC または MP3。Apple Music / YouTube / Spotify は最終的に AAC や Opus に再エンコードしますが、入稿時の互換性とメタデータ表示の安定性で MP3 / AAC が無難。podcast の RSS でも MP3 が事実上の標準です。

DAW でのトラック編集・マスタリング: WAV。無圧縮 PCM なので何度書き出しても劣化せず、Pro Tools / Logic / Cubase / Reaper など全 DAW が標準対応します。中間ファイルを非可逆形式で持つと、編集のたびに音質が削れていきます。

長期アーカイブ・ロスレスライブラリ: FLAC。WAV と同じ音 (bit-exact デコード) を 50-60% のサイズで保管できます。タグ情報も Vorbis Comment で柔軟。CD リッピングや 24-bit/96 kHz のハイレゾ音源の保管で定番です。

Web 配信・ゲーム内音声・通話: OGG Opus。同じ品質を低ビットレートで出せ、低遅延 (典型 20 ms) なので WebRTC や Discord の音声コーデックにも採用されています。MP4 / iOS の互換問題が許容できるなら最も効率的な選択。

ボイスメモ・録音メモ: Opus または AAC。短い音声で互換性も欲しいなら AAC、容量を切り詰めたいなら Opus。

ブラウザだけで相互変換するには

フォーマットの選択が決まっても、手元のファイルが目的の形式と違うことが多い。audio-convert は ffmpeg.wasm を使って MP3 / WAV / FLAC / OGG / AAC / M4A を相互に変換し、ビットレートやサンプルレートの指定もできます。アップロード型の変換サービスと違って、録音データを外部サーバーに送るコード経路がそもそも存在しません。

注意点は 非可逆 → 非可逆の再エンコード。MP3 → AAC → Opus のように非可逆形式を連鎖させると、聴き比べでは分からなくても倍音や高域のディテールが少しずつ削れていきます。元音源 (WAV / FLAC) が手元にあるなら、可能な限り 元音源から 1 回の変換で目的フォーマットを出す のが基本ルールです。サイズだけ落としたい場合は audio-compressor で同じフォーマット内でビットレートを再選択できます。実装は GitHub で公開しており、DevTools の Network タブで「変換中に音声データがどこにも送られていない」ことを目視確認できます。